THEATER IMERUAT & CAFE IMERUAT Report
シアター・イメルア & カフェ・イメルア レポート



2013.7.6 「シアター・イメルア」「カフェ・イメルア」の全貌(神楽坂セッションハウス)
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前編【シアター・イメルア】浜渦 = 緑 Mina=

帰国後初のライブとなる4/5の「空想音楽博物館 Vol.6」のタイミングでフライヤーと特設サイトにて発表した「シアター・イメルア」ですが、このときはまだ正式タイトルは決まっておらず、ファンイベントも設定されておりませんでした。私は2つのプロジェクトをかかえている最中で、その締め切りがそれぞれ図ったように同時に4末、5中、5末、6頭と延び延びになり、そして今尚片方は続いており…、また5月はドイツとの往復、5末から6頭にかけてはイギリス、アメリカと西回りで世界一周、その間2日で5つのレコーディングが挟まっていたりなど、翻弄されっぱなしでした。それからようやく開放されたのが6月10日頃。さあ残り一ヶ月でいよいよシアター!カフェ!という状態でした。さて、なぜこんな企画をやろうと思ったのでしょうか。かねてより高い支持を頂いている、コンテンポラリーダンス曲「Ginat」を一度お客さんの前で再現したいという気持ちが昨年スイスに長期滞在していたときからあったこと、そしてIMERUATの音楽の第一形態なるものが「Black Ocean」とライブの経験によって随分まとまってきたことで、そこに甘えずに敢えて視野を広げ、興味があるけどちょっと怖くて難しそうで踏み入れにくそうなものに挑戦したい、という思いがあったからです。ライブハウスと違い、舞台の世界はPAから照明から設営から運営から全部自分たちでやらなければならず、最後の一週間はもうそれは壮絶な準備期間でした。

会場には10時入り。「工事を入れないように申し伝えていたんですが…」と申し訳なさそうに仰る会場のオーナー。オーナーさえ聞いてなかった道路工事が会場の前の細い道を完全に占拠していて、搬入にも一苦労。「2時には撤退するそうです^^;」「それならよかった」「開場前には終わる!」…ということだったのですが、そうは上手くいきませんでした。

10時半にはほぼ全てのスタッフが揃いました。私、Mina、映像のスギモトさん、パーカッションの寺田さん、撮影隊、照明・設営・販売等のスタッフ。まず照明のセッティング。これはさすがにプロにお願いしなければならず、やっとのことで探してきた人にお願いしました。受付周辺ではグッズの準備で最初から大わらわ。私はオーナーたちと客席、ひな壇の設営。そしてステージやピアノの準備も。ステージのMinaは…と、舞台裏から受付まで、走り回って采配。スタッフの弁当の手配まで彼女の役割だったり。「休め!」と言いたいところですが、人手が足りず任せてしまいます。スギモトさんはプロジェクター、ピアノ用カメラの準備。寺田さんはパーカッションのセッティング。やはり上手(かみて)がいいのでは?とリハ前にピンスポの位置の変更を要請。照明スタッフは尚も走り回ります。運転手兼設営の私の弟が「…気になる」とひな壇を尚も補強。映像撮影クルーは今回は初めてプロの方をお願いしました。CCDを含む数台のカメラのセッティングをしつつ、我々の準備ややりとりも撮影。苛つき焦る私の姿も…!?名カメラマンでもある盟友、山﨑良氏も静止画担当でパシャパシャ。そんなこんなでバッタバタのままリハに突入です。働きづめのMinaは本番のイメージと違ったらスタッフがやりにくいだろうと賢明に踊る。スギモトさん、寺田さんも全力。私はおろおろしながらPAと照明を同時に指揮。「第二部」のリハはスルーして、最後に会場設営。スタッフ総出で椅子を並び替え、フライヤーを座席に配置。「ベンヤミンのチラシが足りません!」「じゃあそれは受付に積みましょう!」と座席から回収したり。Minaは楽屋で針治療…!思い出すときりがないので開場前の様子はこのへんで。10分押しで開場ということで、ご来場のお客様にはご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。しかも終わっているはずの工事がまだ続いていたり、スタッフの数が不足して追いつかなかったり…。その時まだ私は「椅子!椅子!」と走り回っていました…なんと杜撰な。重ねてお詫び申し上げます…。

配布物はプログラム、ベンヤミン・ヌス ピアノコンサート「Pianoschlacht」のフライヤー、ファンの方による初のファンマガジン「ROMAN」。プログラムは私の手製です。演目内容がはっきりすると面白くないので、タイトルは1、2、3、4、5としました。「ROMAN」はなんともすばらしい作り!プレイング浜渦の企画の方たちもそうですが、ファンの皆さんのほうがモノムジークよりはるかにプロフェッショナルな物作りをされています。この手腕がウチにも欲しい…^^; 詳しくは公認させていただいております、ファンサイトをご覧ください。http://hamauzu.qiqirn.com/
販売物は新作のTシャツとバッグ、ハンドメイドバッグ、ムックリなどなど。
また「プレイング浜渦」の皆様から大きな花もいただき、エントランスに飾らせていただきました。



15時過ぎ開演

・開演ベルと開演アナウンス
開演ベルは自作です。アナウンスは某百貨店の店内アナウンスをやっていた人にお願いしました。

・DVD宣伝映像
DVD IMERUATの宣伝映像です。シアターという感じを出すためにCMを演出しました。YouTubeに上がっているものに「好評発売中」の文字を足しています。

・タイトル
最初に出てくる「イメ倫」のロゴは私が作りました。これが結構ウケていたとか。私はコントロールルームに居たので笑い声が聞こえませんでしたが…。そしてMina、私、スギモト、寺田のメインの名前と、「THEATER IMERUAT」の文字。ずっと無音です。今回のイベント名は正式にはカタカナで「シアター・イメルア」です。

・白熊と白狼
最初のダンス曲。既存の自曲を直前までリミックス、リアレンジしまくっていました。白熊と白狼と言いながらも、テーマは音楽重視で、ある意味、絶対音楽的絶対ダンスというような…それにしてはオーソドックスを狙っているかのような、そういったおもしろさを感じました。

この曲の原曲は浜渦さんがBGMを担当しているSONY”α”CLOCKのサイトの「エンガディン」の世界遺産で流れている曲です。サイト公開前に初めて聴かせていただいたとき、とてものびのびとした光に満ちたような風景が浮かび、その中で舞いたいと瞬時に思いました。タイトルはたまたまタイトルで悩んでいるときに、白熊が白狼を食べようと雪の中を必死で追っていて(現実にはあり得ないですが)それを自分が丘の上から「逃げ切って〜!」と見ている、という夢を見て、食物連鎖や本能のまま生きる生命の美しさや悲しさみたいのを感じた夢で、それがこの曲を聴いたときの印象と似ていたので、そのまま「これでいっか!」とタイトルにしてしまいました。とはいってもただのインスピレーションだけで振りに反映したわけではないですが。実際は原曲が美しく完成されていて、振り付けが一番難しく、最後までそのスタイルを確立に迷いました。



・Giant
音源としては2分ものSEを経て、あの「Giant」をそのまま…の合計約6分。Minaは最初ちょっとフラついたようですが、相当気合いを入れていたようです。映像は2コーラス目よりガツンと来ます。西欧風の建物の何枚もの窓に明かりが灯っては消え…が繰り返されるのですが、窓の中に予め撮影していたダンスが映し出され、Minaの実演と同期するという、非常に手の込んだものでした。スギモトさんが手元でタイミングを調整するなど映し出す側も大変な作業です。Giantは音源ができたときに一旦世界観が完成し、また小野山・占野両監督によって映像化され、またさらに新しい世界観が登場したのですが、どでも正しいGinatのあり方であると非常に嬉しく感じた次第です。…ということで、個人的には全く素の、何の背景もないところで一度このダンスだけ、わずか4分だけですが、鑑賞する会を開いてみたいと思ってしまうのですが(笑)。Minaはこの曲が終わると同時にはけて、「Improvisation」の準備へ。

VimeoやYouTubeで公開されている「Giant」です。これだけ、シアターの中で唯一スイス在住の振付師ロレンス・サンバンに振り付けしていただいたもので、他の曲は自分です。大好きな踊り、大好きな曲なので、また踊る機会があれば是非やりたいです!(ステージにスペースがあればライブでも踊りたいですけどw)



・間奏曲
Imeruat、Black Ocean、6Mukの音源を使ったリミックス曲。ミニマルではありますが、3曲のMIDIを立ち上げ直し、テンポを新音源のものに統一、必要なトラックを流し込み直し、それをずらり並べて作りました。この曲が始まってから寺田さんが登場、パーカッションをセッティングしながら、いつのまにか演奏…という演出。映像は5月にスタジオで撮ったMinaのGiantの映像をスローモーションにしたり、リアルタイムでスギモトさんが調整・操作。映像の中にシアターがあり、バックにはIMERUATのあらゆるPVが流れるというファンサービス的な映像、そして音源でした。…と、この曲がはじまるや、私は楽屋に飛んで行き、Minaへの指示と準備の手伝い。見るとゼェゼェ、ハァハァと体力使い果たしたのではないかというような状態…!間奏曲はわずか6分弱。髪と上着を水道で濡らして…もう4分ほど経ち、私はすぐにコントロールルームへ戻り、Minaは舞台袖へ。

体力ないですね・・・(^^;



・Improvisation
その名の通り、「即興」を中心としたダンスです。髪の毛を濡らすのは決まっていましたが、上着もというのはリハの時に決めました。今回のダンスは全てソロということで、楽曲や映像が変わっても空気感を変えるのはなかなか難しいのですが、この「水」を使った演出はかなり効果的だったと思います。打ち込み音源は尺が決まっており、即興するのは専ら他の三名。Minaと寺田さんの掛け合いなどは、リハでは見られないものでした。もちろん好き放題やるわけではなく、大凡は決めており、そこからその場の空気でどうアレンジするか、という意味での「即興」です。ちなみに冒頭の壁を使っての振り付けは私が考えたものです。テーマは、自分の意思と関係なく翻弄されていく人々…と、そんなところです。運命を無蓋車に表し、それ故雨露を凌げずにMinaは水をかぶっており、発狂しそうなほどに解放を求めます。その後割と早い段階で解放され、「結構これでもよかったじゃん」と言わんばかりに流されていきますが、結局は…というような流れです。途中何度か、Minaが緑と赤の炎の球と追いかけっこしていたのですが、おわかりいただけたでしょうか。炎は実はスギモトさんがリアルタイムで操作しており、Minaのあとを追いかけたり、追いかけるMinaから逃げたり…。まさに映像も「Improvisation」でした。さらには終わっているはずの外の道路工事の騒音がピークになり、これがコントロールルームで「すごい重低音!」と音源の一部と間違われる始末で、思わぬところで第4の即興アーティストの登場…!と、私は「2時終了じゃなかったのか…!?」と、弟を遣わせましたが、たどり着く頃には静かになっておりました。楽曲はミニマルでスピード感がありながらも重いイメージだったことで、音楽的でなくてとっつきにくかったかもしれませんが、作曲していてついつい「音楽的欲求」に負けてしまうところを、15分弱までコントロールしたことで、そこそこいいものになったと思います。

「即興」と言っても、もちろんその場で思いついたまま適当に踊っているわけではないですよ(笑)ほとんど決めているところもあるし、いくつかのパターンを用意しておいて、曲の雰囲気とかで感覚で出していきます。あとは映像とパーカッションも意識しながら呼応する感じで…。もっと回数を重ねると、さらにコラボレーションや呼応性が深まりそうで、またやってみたいです。使った椅子は、前日探しに出かけて運良く気に入ったのを見つけて、当日午前ギリギリに配送してもらったものです。

確かに!これも数をやってみたいですね。



・おそうじ
ダンス教室やスタジオでは、練習後モップなどで清掃するのが慣例だそうです。ですからメインが終わったら掃除をしましょう…という演目です。そんな安易な…という感想があればそれは正解です。最初は掃除機を考えていて、世相を部屋で表し、掃除しきれない部分をいかに表現するか?という案でしたが、そういうのもまた安易に思ったので(笑)。Improと打って変わって、突然の軽快な弦楽カルテット曲ですが、ボストンでVideo Game Orchestraによって収録したものです。他のプロジェクトの収録の終了後に、さらっと録ってもらったのですが、今までに書いた弦カルの中で間違いなく一番好きなものになりました。次のアルバムは楽しみな楽曲が多くなって参りました^^ その時は歌を載せる予定で、メロも既に決まっています。

曲が明るくかわいかったので、コミカルでどこか抜けている感じの踊り?掃除?をしました。掃除もまじめにしないでサボったり踊ったり…この作品はなんか私のそのままのキャラって感じがします(笑)



・イメルア体操第4
いわゆるラジオ体操のようなものです。DVD「IMERUAT」のおまけポストカードのうちの一枚に「上利別慕情」という架空のCDジャケットのものがあったのですが、そこに「B面イメルア体操第四」と書いてあり、それを本当に楽曲化した形になりました。今をさかのぼること25年前、私が通っていた緑台高校の独自のラジオ体操に心を揺り動かされた経験がこの曲の原点です。その独自体操の音楽は聴いたことのある簡単なピアノ練習曲などをつなぎ合わせたものだったのですが、途中非常に不安を感じさせる和音とアルペジオが登場し、「君たちはそうやって青空の下、みんな揃って文句一つ言わず体操しているが、果たしてそればかりでいいのか?」と、まるで全体主義への荷担を皮肉られているかのような気持ちにさせられたもので、面白くて仕方ありませんでした。音楽ユニットのIMERUATがダンスイベントをやる…、ここだ!と思い、私もやってみようと思った次第です。パロディの体操なんかは散見しますが、音楽的に、そして詩的に攻撃しようという試みのものは聴いたことがありませんでしたから、これはいかにもIMERUATらしいなと。また高校時代「そればかりでいいのか?」と感じてしまったのであれば、「朝から元気に体操と言われても…」「逆にその明るさが…」などという緊張した考えにたどり着くのは意外なことではないはずで(笑)、きっといるはずの同族を元気づける方法を模索した体操があったら面白いのではないか…と、動機はともあれテーマがここまで見えたら楽曲作りは楽しいだけ、と相成ります。作編曲はもちろん、振り付けも9割方私がやりましたので、「不安クリエイターの創作物」という意味での純度は高いです。安心して不安になっていただければと!

本番三日前くらいに振り付けをつけて、何度も順番を間違え「違うっ!」と怒られながら(笑)。予想以上にお客さんからの反応がよく、音源化&映像化、私たちも計画を立てていて楽しみです!




さて、正直申しますと、この日は満席だったにもかかわらずトータルでしっかり「赤字」でした(笑)。音楽と違ってコンテンポラリーダンスはやはり市民権がない…とは言いませんが、やはり規模が一桁くらいは違う気がします。音楽の世界には武道館やドームで数万人を動員するような力がありますが、コンテンポラリーではそんなのはまずありません。ふと思い出したのは「ニッポンのクラシック音楽」です。なぜ思い出したかと言うと、実はセッションハウスを予約する前に、横浜の某有名会場に問い合わせたとき、さんざん電話口で高慢でエラそうにされたことと、ニッポンのクラシック社会の妙な高慢な感じが似ていると思ったからです。コンテンポラリーも日本のクラシックも、正直誰でも挑戦して回していける世界とは思えません。シアターは120人動員しましたが赤であり、これが普通の音楽イベントであれば、演奏者を倍に増やしてもトントンにはできます。ということは、この世界は相当ハードルが高い。日本のクラシックについても、脚を何年か突っ込んでいたので解っているつもりなのですが、「チケットノルマ」なんて言葉はアホほど聞きました。そして教授に「お前も先輩の演奏会を観に行かないと、自分の演奏会も来てもらえないぞ」「俺のコンサートに何故来ない!」なんて言われたり。そんな事実ばかりではないですが、音楽の本質の部分でないところがボロボロとそのあたりに転げ落ちている。それを無理に形にしようとするからどこかに歪みが生じる。その一つが「権威主義のようなものが生まれる」要因になっているのではないか。その横浜の会場に電話で問い合わせたときも、「経験がないのに?」「ウチの会場を見たこともないのに?」とまぁ、さんざんエラそうにされました。ライブハウスに問い合わせてこんな扱いをされたことがないのに、コンテンポラリーの世界はそうなのか?いや、それは極端な例でしょう。しかしそもそも彼が「エラそうに」しなければ理由はどこにあったのか。しっかりとした裏付けのある芸術と市場がそこにあれば、そんなものを持ってくる必要はないはずで、そこに彼が持ってきたのは権威であり、上から目線であったわけで、ははぁ何か矛盾を補正しなければならないことがあるのでは、と懐疑的になっても仕方がないと思うのですが…。Minaが「市から助成金をもらっているのに市民からの問い合わせにその態度はおかしいのではないですか」と言うと、「もらってはいるが、独立同然」と我々にはもはや理解できない解答。これが下っ端のマニュアル・バイトくんであれば、我々も怒るような大人げないことはしません。駅員や店員という前線に立たされている立場の弱い人間に食ってかかる、あれはさすがに真似は出来ません。しかしその彼は大ボスだったのがちょっと(笑)。まあそれでもキレてしまったのは大人げないことなのですが、権力のあるはずの人間がわざわざエラソーにしているという意味不明さにはスイッチが入ってしまう…というように私は出来てしまっておりまして、電話越しにやってしまいました。そしてMinaに「これをステージでネタにしよう(笑)」と言ったのですが、シアターではそれをするのをちょっと忘れてしまいまして(笑)。ただ、そういえば「Giant」というのは、巨人…要するに巨大な権力、そんなテーマの曲であったはずです。日本のニヒルな世相では「何が権力がテーマだよw」というところでしょうが、まぁここまで来て恐れても仕方が無いのでやってみた次第です。その分「Left」で今度は反対側を告発さえしていますし、まぁバランスをとってはいるのかなと(笑)。そんなこんなで、私はこの「成立するのが極めて厳しい世界」にIMERUATを放り込み、見事赤字となったわけですが、しかし得たものは「やはり大きかった」と実感できました。プロスポーツのチームがいい状態のうちに抜本的な改革を進める…というような感じでしょうか。いい流れのまま進んでも、同じことをし続けていたらいつか失速するというのは確かに感じるところです。かと言って、無茶ばかりを並べることはしません。これはなんだかんだと日本のアニメやゲームで育ったからでしょう。美しく明快なものを表現すべく、不協和なものをガッチリ置く…ということをしているだけで、自分は本筋はメジャー路線派のつもりなんですが(笑)。そういうわけで「カフェ」も企画し、「体操」も「お菓子」も用意させていただきました。私はともかくMinaとお客さんと、あと未来の何らかに、新たな視点を持ってもらったような、そんな感覚です。話を戻しますが、やはりコンテンポラリーにしても日本のクラシックにしても、そもそも正直どちらの世界も個人的にはさほど面白いとは思わないし、無理に見に行きたいと思うことがありません。そこに「感動」の期待がなかなか持てないのですが、きっとこれは私だけではない感じ方だと思います。そんな難しい立場にある世界を高尚且つ需要のあるものであることに今すぐにでもしなければならないと考える人が存在しているのが不自然でなければ、いかにも市民権の得たかのように振る舞おうとする向きが存在するのも頷けはする。だから一部のオーナーは「すごいんですけど?」と、一部の教授も「敬意をカネで示すべし」とふんぞり返っているのではないかと考えてしまうのです。それはさておいても、IMERUATはこの日、この、私が本来「興味薄」であったはずのダンスの世界に挑戦したわけですが、そういった低くも、問題の多い壁を、それなりにしっかりと超えることが出来たと感じられる機会になったと思います。しかしやはりかような「理解しにくい、あまりよろしくない部分も多い世界のもの」であることはきっと間違いないことであり、ご来場いただいたお客様には「よくわからないけど、まぁ…」と思っていただければ、それは至極全うで、コンテンポラリーの本来の進歩を固める、そういった理解のされ方であったと、感謝申し上げたい次第であります。「理解しなければならない」…そんな思いで行く芸術の発表の場なんか本来ではないはずですもんね。

浜渦さんが先に長文書いてくれたので、読んでいるだけでお腹いっぱいでなにを書くつもりだったか・・・(笑)。とにかく今回は、慣れない無謀な試みでしたが、一緒に作品を作り上げてくださったスギモトトモユキさん、寺田典子さん、そして集まってくださったお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。至らない点も多々あったと思うのですが、ご来場いただき誠にありがとうございました!

まさかまた踊りでステージに立つ日が来るとは思っていませんでした。私は4歳から16年間モダンバレエを習っていて、ダンスは物心ついたときから自分の生活の一部にありました。それも親に行かされたわけではなく、4歳の私が自分で、NHKのクラシックバレエの番組を見て「ミナも踊りたい!」と言い出したのです。そして母が連れて行ってくれたのが、古典的で技術や美しさを重視するクラシックバレエ教室ではなく、もっと自由で内面表現やコンセプトなどを重視するモダンダンス(当時はまだメジャーな言い方ではなかったですがいわゆるコンテンポラリーダンス)教室だったのは、今思うとそこが私の原点になったような気がします。
発表会で衣装やメイク道具に囲まれてワクワクする感じ、ステージに立つ緊張感が大好き、照明が睫毛に当たってキラキラするのが大好き。小さいときから週に2回、発表会前は毎日のように通っていたダンス教室でしたが、高校卒業後北海道から上京し環境や生活が変わる中、スタジオに通い続けることが難しくなり、他のことに興味がいき始め、いつしか踊りから離れていきました。それから何故か自分の人生では実は最も想像していなかった歌手らしいことを現在やっているわけですが、「また踊りたい」という思いはいつも頭のどこかにあったと思います。音楽に乗りながら部屋で一人適当に踊ったり、ダンスの映画を観にいったあとは駅のホームで踊り出す足を止められず…。でももう人前で踊る機会はないだろう、と思っていました。それがふいに「Giant」のミュージッククリップ撮影で実現することになりました。これも私が一聴した途端、なにも考えず「これで踊りたい!」と言ってしまったのが発端なのですが、その無謀な発案に「面白い、是非やろう!」と逆にミュージッククリップやステージまで企画して来た浜渦さんには本当に感謝しています。FFXIIIで歌ったときから、自分でも気付いていない側面をいつも引き出してくれ、それを表現する場を作っていただいています。そして今回は「シアター・イメルア」という奇妙な企画をして踊ってしまったわけですが、私がなんとかステージを終えられたのも、浜渦さんが下から私をなんとか持ち上げ支えてくれていてからだというのは、ご来場された皆様ならお気づきになられたことでしょう。

私はアートでも歌でも踊りでもパフォーマンスでも、人前に自分の「表現」を提示し、またそれでお金をもらって生きていくっていうのは、よくよく考えるとある意味すごくおこがましい行為のような気がして、たまに無性に羞恥心のようなものを感じるときがあります。なにが価値があり、誰がそれを決めるのか。人間は誰でも外見も声も経験も思考も違う唯一無二の存在で、誰だってオリジナリティの表現を生み出すことが出来ると思うし(同じことやってもやる人で出るものは必ず違うはず)、それが訓練や経験を重ねたり、たまたま運や時代に恵まれた人がそれを職業として経済活動をしながら生きているに過ぎないと思っています。私は運良くも周りにも恵まれ自分の図々しさや図太さも合わさり、ステージに立つことが出来ている人間ですが、だからこそ、いつも「すみません…」「いや、こんなんですけどいいですか…」という気持ちがあります。ステージに立つ瞬間はそんなんじゃ客席のパワーに負けてしまうから、「私を見てね!」くらいに完全に開き直っていますけれど。逆にそれで自分にも暗示をかけているところもあるでしょう。今回もそうでしたが、毎回直前まで「あ~どぼしよぼぼっぼぼ~」「もう早く終わって~」と緊張しつつも、出番が来たら最後、スーーッと観念し、「エイッ」とステージという海に飛び込みます。飛び込んでしまえばあとは必死に一心不乱に、でもどこか冷静に周りを観察しながら歌ったり踊ったり…気づくと終了です。本番前は「こんなのやらなきゃよかった〜!」と思うことも多々なのですが、でもその海に飛び込める環境に感謝しながら、今後も精進したいと思います。そしてなにより、そこでお客さんに喜んでいただけたりなにかを得たと感じでいただけるのなら、これほど幸いなことはありません。(結局私も長くなりました…)

書きすぎたので、第二部は写真と小ネタにて!


出演者の4名でアフター・トーク第二部の主役、スギモトトモユキさんパーカッショニストの寺田典子さん映像制作の現場を紹介スゴモト様…?製作の経緯説明で過去メールを公開され…

スギモトさん作の「Black Ocean」のキャラクターMinaが描いた「Left」のキャラクター「Left」で使われたイラストの原画「Left」で使われなかった新聞記事ネタ画像

・小ネタ1 第二部開演ベルと開演アナウンス
第二部の開演アナウンスが会場内に流れて来た…と思いきや、その声の主であるMinaがアナウンスを続けながら舞台袖から登場(第一部の放送は事前に録音しておいたものです)。某百貨店でやっていたという経験を生かして途中「迷子のお知らせ」の言い方などを披露。まさか私を迷子の対象にするとは思わなかったですが!

・小ネタ2 スゴモトさん
第二部はスギモトさんの映像制作の裏側を紹介。公開されているミュージックビビデオ「Black Ocean」「Left」でのキャラクターの絵からマル秘とも言える私やMinaとのやりとりのメールの内容まで!

(写真 山﨑良・他)